経営者が組織を立て直そうとか、会社をもっとよくしようと思ったとき、ルールから入る人が多いものです。出社は何分前までにとか、タイムカードを打つタイミング、それから日報をつけようかとか。ルールがないと無軌道になりますから、ルールそのものを否定しているわけではありません。ですが、ルールばかりでも息苦しくなってしまいます。
ルールが多いと人が離れる
「ないと困るものにはルールを充てがわなければならない」というのが、私のひとつの考え方です。パワーコンテンツジャパン株式会社で毎朝行う業務報告では、曖昧なルールしか設けていません。
単純に「今日するタスクを報告して」というだけです。弊社では、いわゆる一般的な業務報告やフォーマットの提出などもありません。細かいことですが、コピー用紙の補充などの備品管理も、いつ買ったらいいかというタイミングがわからないと買いようがありませんよね。
キッチンや冷蔵庫の使い方なども同じで、細かいことまでルールにしてしまうと人は使いたくなくなるんです。そこから離れたくなります。
「会社が成長しているときにルールも比例して伸びるわけがない」という考えがありますが。「ルールは最小限に抑える」というのが私の考えです。あとは、決められてないと困るものだけルールを作り、それぞれのスタッフに任せるのが居心地がいいのではないかと思っています。
弊社では、やることは私が決めて、やり方はスタッフに任せるというスタイルです。やり方を任せられると、その中で考える力が育ちます。
最低限の常識が合う人を集めた方が楽
弊社では服装や私語など、「許されている」ことが他の会社より多いかもしれません。緩いともいうのかもしれません。がんじがらめの中でいい発想は出ないのではないかと考えているので、許されていることが多いということは、自分がやりたいことをやれる環境に近づいていると思っています。
そう考えると、組織にはルールをたくさん作るより、最低限のルールと文化思想が合う人が集まることの方が大事なのかなと思っています。
少し話は変わりますが、ベンチャー企業でありがちなのが、会社が急成長して人数が急速に増えたときに、不正にお金を使う人が出てくるということ。例えば、勝手にアスクルなどで自分の夜食を購入するとか。でもその人に「自分の食べ物を会社のお金で買うのは良くないだろう」という発想がもともとあれば、そういうことは起きません。一気に伸びた会社でいろいろなことが起きるというのは、そういう側面があると思っています。
会社の価値観に合う人を集めるのが、社長や人事の仕事なのではないでしょうか。全く異質な人が入ってくるとルールが必要になってしまうんです。幅はあるにせよ、常識の方向性がある程度共通している人を社員に迎えた方が楽です。
横須賀輝尚