会社を良くしようと思った時から、ソニーを含め、いろんな研究をしてきた結果、パワーコンテンツジャパン株式会社では、「人の関係性が大事である」と考えるようになりました。最近は少しペースが落ちていますが、例えば月一回飲み会をしています。飲み会などで同じ場所に集って全員がしゃべるという場を作る、これが基本です。
雑談奨励・私語奨励でくだらないことが言い合える空気にする
関係性があるということは、言い換えると「話す」ということなんです。とにかく話す。ですから、ルールとまではいきませんが、パワーコンテンツジャパン株式会社では、雑談奨励・私語奨励というスタイルにしています。
要は、雑談や私語をしているのを一回も咎めないということです。どんなくだらない話や仕事に関係ない話をしていても、基本的に咎めることはありません。もちろん、仕事は仕事でちゃんとするという人たちなので、雑談ごときでは別に支障はないんですが、まずはそうしました。
やっぱり、なにか言い合って話をして笑いが生まれるというのは、すごくいいことです。くだらないことが言えるということが大事なんです。なぜかというと、笑いが出る、くだらないことが言えるということは、いろんなことが言いやすいということだからです。
話す関係を作ってないのに意見だけを求めても不可能
例えば小さい会社でもよくあるのが、全員集合させて会議をするとき。営業戦略だ。こういう目標でやっていくんだ、意見はないか?と。そんな会議では、意見なんて出ません。
なぜかというと、普段からそういう関係じゃないからです。「こんなこと言ったら怒られるんじゃないかな」とか、「私の立場でこんなこと言ってしまっていいんだろうか」と思ってしまう。ですから、結果的に一部の人だけがしゃべる会議になってしまう。それはその会議が悪いです。
どうしてその会議が悪いかというと、話す関係を作ってないのに意見だけを求めても不可能だからです。そこで重要なのが笑いなんですね。
くだらないことを言っても許される空気を作ることが大事
くだらないことを言って許される空気を作ることが大事です。ですから、無理矢理笑わせることはなくても、笑えるような話をリーダーが率先してやれるということが非常に重要です。
たとえば、ソニーの歴代の経営者やリーダー的な人の多くは、ダジャレをよく言うそうなんです。ここから私が何を汲み取ったかというと、「そんな偉い人がダジャレを言うぐらいだったら、何を言っても大丈夫なんじゃないか」ということ。もしも逆に、すごくレベルの高い笑いばっかりやられたら、社員も発言しにくいかもしれない。ダジャレというところに、意外に意味があるんじゃないかと考えました。
このように、意識的にはしていませんが、会社ではお互い笑い合うような話をすることが多いです。ですから全員が集まって会議をするときも「こんな意見言ってもいいのかな」というので止まることがあまりありません。
とにかく重要なことは、くだらないことでも言って大丈夫なんだ、という空気を作ることが大事だということ。そのためには、小さい会社だったら社長がやらなきゃいけません。面白いんですが、社員は社長の言うことは聞かなくても、社長の真似はするんです。
例えば、社長が時間にルーズだったら「ルーズでいいんだな」と思う。社長が率先して朝早く来て掃除をしていたら、「社長がここまでやってるんだったら自分もしっかりしなきゃ」と思う。これはいいことも悪いことも同じです。ですから、社長が自らやるしかないんです。
社長は「NO」と言われるのが怖い
社長の中には、バーベキューとか、社員同士で仲良くなるようなことを社員が勝手に企画してくれないかなあ、と思う人もいますが、基本的に社員が自主的に始めるということはあまりありません。社長が率先してやるしかない。
飲み会やバーベキューなど、社長がそういうことをやろうと思っても、なかなか船頭を取れないのはなぜかというと、NOと言われるのが怖いからです。仕事は業務命令なので基本的にNOはありません。ところがそういうレクリエーションに関しては、NOと言われる可能性があります。
例えば社長が「社員旅行なんかいいね」と言ったとき、ある社員から「そんなことにお金を使うくらいだったら私は給料を上げて欲しいですと」言われたりしてしまう。それとこれとは別なのですが、社長にとってはこれが痛いんです。
私も経営者なのでわかりますが、社長というのは、そういうことを社員に言われてしまうとすごく沈みます。内側からのそういうダメージは意外と大きいので、社長はみんな怖くてできなくなってしまうんですね。
ですから、最初は頑張ってやるしかない。雑な言い方になりますが、社長がやりたいようにやっていたら、それに合う社員だけ残っていきます。この話はまたどこかでしたいと思います。
このように、笑いというものについては、社長自らこの空気を作り出すことで、社員がものを言いやすくなる。ですから、最初は社長が頑張って笑わせることが大切です。
横須賀輝尚