これまでは「パワーコンテンツジャパン株式会社はこういう働き方、考え方だよね」という暗黙の了解がありました。いわゆる企業文化や社風と呼ばれるものです。
就業規則などはもちろん明文化してありますが、それだけではなく、ワーキングコンセプトというものを作って働き方を定義しました。これが「366スタンダード」です。明文化したのは割と最近の話ですが、ここを明確にしてから、会社が会社として回り出したように思います。
何かあったときに社員が判断できる基準が欲しかった
なぜわざわざ明文化したかというと、一番の理由は、何かがあった時の基本的な判断基準を作りたかったからです。
もちろん社員が一人一人考えて判断するようになってはきています。しかし、最終的な判断は経営者である私になりがちで、良くも悪くもパワーコンテンツジャパン株式会社は社長ありきの会社なんです。これは小さな規模の会社が抱える運命ともいえますし、多くの会社はそういう仕組みになっています。
社員が取締役になって出資しているような会社であれば、社員が最終的な判断をすることもあるかもしれません。ですが、基本的には責任がとれる人は社長だけ。弊社も同じです。
私がいつも社内にいればいいですが、出張で会社にいないこともあります。そこで、何かがあったときに、社員が「これをもとに判断できる」と思える指針があればいいと考えました。
少なくとも、「これに基づいて考えました」といわれたら私も納得する、そういうものを作りたかったんです。そういった経緯から、今まで何となくあったものを明文化したのが今回の「366スタンダード」です。
「366スタンダード」は、私がいつも言ってきていることです。以前ブログにも書きましたが、「濃密な時間の中で、休みをしっかり取りながら仕事をするという働き方」を366スタンダードという言葉で表現しています。
足りないのは情報ではなく思考力
考えることが大事だということはコンサルティングの場でクライアントの方にもお伝えしてきましたが、特に自分に対して言ってきた言葉です。私も弱いところがあって、何かに迷ったときには一度方法論に行きたがります。
例えば会社で組織を作っていこうと考えるときも、ついつい「組織を自動操作する方法」とか、そういう本を開いてしまう。それ自体は間違っているとは思いませんが、「勉強しなければ思いつけないはずがない」と思って一度立ち戻る瞬間があります。
私がよく使う理論が「とにかく戦後に戻ろう」ということ。情報もお金も何もなかった戦後の時代に、立派な会社を作った人がたくさんいます。それに、戦後と今とでどちらが思考するのに有利な環境かといったら、絶対に情報がある現在の方が有利です。だとすれば、私たちはその人たちに思考力で負けているんです。
会社経営をしていると、迷ったときに他の会社のものに理念を当てはめようとしがちですが、それは大間違いです。私も理念を勉強して、他の会社が持つ理念に自社をあてはめようとしたこともありました。でもやっぱりそこで「こんなことしなきゃいけないのかな」とか違和感を感じました。
どうしても「これをやったからうまくいく」という確証や指針みたいなものが欲しくなりますが、ある程度の情報を得たら自分の中で考えることが重要です。
会社の理念や信条は全社員が覚えられるシンプルなものがいい
一時期クレドが流行りました。クレドとは「信条」という意味で、元々はリッツカールトンの従業員がクレドを持っていて、クレドを行動指針にして各々で判断して行動しているというので、非常にブームになったものです。
私もクレドを作りましたが、作ったは良いけれど覚えていられない。よく長いクレドや社是を手帳のような小さなものに印刷して従業員がポケットに入れている会社もありますが、基本的に全てを覚えるのは無理があると思います。
だったらもっとシンプルにした方がいいのではということで、パワーコンテンツジャパン株式会社ではコンセプト経営が始まりました。
弊社のコンセプトは「Make Happy contents」と「Think more」です。私たちはコンテンツを作る会社なんです、ということが言えたら十分で、働き方は徐々に身についていくと思っています。その判断基準として「スタンダード366」を作りました。
横須賀 輝尚