パワーコンテンツジャパン株式会社には、書籍購入・セミナー参加制度というものがあります。就業規則にも書いていますが、これは、必要な書籍やセミナーは上司の許可を取って購入または参加できるというものです。ただ、これは制度なので、何もしないと100%誰も活用しません。
本人の意思がそこになければ効果は出ない
勉強するということに関して、社長は基本的に熱心ですし、セミナーの効果についても理解している人が多いものですが、基本的に働く方の人が一番嫌なのが、強制的に「研修に行ってくるように」と言われることです。100%寝ます。
その背景には、「意義がわからない」ということがある。根本的なことですが、本人が学びたいという気持ちがなければ、どんな勉強も効果がありません。
例えば、資格試験はその典型例でしょう。資格試験を嫌々やっている人は基本的にいません。勉強が大変とか辛いという気持ちは誰でもありますが、それでも「受かりたい」という気持ちがあるから率先して勉強するわけです。
分厚い基本書を読んで、問題集を何回も解くというのは、普通はそうできることではありません。それでも、自分が求めたものだからできるんです。ということは、社員にそういう制度を活用してもらいたいと思ったら、社員の興味・関心に気づくことが必要だということが重要です。
「行きたい」と社員が答える環境づくり
それに気づけるような環境づくりをしていきたいと思っているので、弊社では個別面談も多いです。例えば面談で社員に「どういうことがやりたいのか」を聞き、その上で「こういったセミナーがあるけど行ってみますか」と尋ねます。基本的に、セミナーに行くように命令することはありません。
デザイナーでも、もっと技術を学びたいということなら、「こんな講座を見つけたけど行ってみる?できるようになれば評価も高くなるかもしれないし」というふうに伝えてみると、「それは行きたいです」という返事が返ってくる。
そういう返答が返ってくるように持っていくための、上司やリーダーの役割の方が大事だと思います。それも関係性が必要です。
一番良くないのが、研修さえ受けておけば、という考え。うちの社員はなかなか自分で物事が考えられないから、自分で考えられる社員にしたい。そこで「考えられる社員セミナー」なんかを見つけると、社長が「そこに行ってこい」という。これは何の意味もないと思います。
どうしてもそこで成果を出したいのなら、まず関係性を持って、そのあとに「自分で考えられたらいいよね」と持っていく。また、人や業務にもよりますが、自分で考えられることが評価対象になるのなら、「このセミナーを受けたらもっと良くなると思うけど、行きますか?」と尋ねる。
そのときに、行きたいと言ってくれる人になっていれば効果があると思います。弊社の考えとしては、コミュニケーションを取る中でお互いに興味・関心のあることを見つけていくということを大事にしています。そういう意味では、学びたい人にとってはいくらでも学べるかな、と思っています。
横須賀輝尚