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「使えるネーミング」と温度感

私は事業やサービスに名前をつけるのが好きです。LEGALMAGICや天才塾しかりで、これまでも多くの事業がネーミングから始まっています。

最初にネーミングがあって、概念が生まれてから事業の形やサービス内容が決まっていくことが意外と多いです。ただ一般的には逆で、サービスや内容ができあがった後で名前をつけるのが普通かもしれません。

雰囲気や空気感が着想のフックになる

左脳、右脳というふうに分けたとしたら、私はどちらかというと右脳寄りの発想かもしれません。「こんな感じのものがあったら面白そうだな」という雰囲気や空気、切り口が見つかってから枝葉末節を決めていくやり方だからです。

例えばLEGALMAGICなら、菰田弁護士という実力のある面白い弁護士と何かができれば面白そうだな、というところが始まりでした。「士業向けの顧問弁護士」というサービスはその前から決まってはいましたが、そこからネーミングを考え始めました。

WORK the MAGIC ON行政書士法人があるので、そことリンクして、魔法をかけるようなすごい顧問サービスにしようというイメージで「LEGALMAGIC」という名前を思いつきました。そうするとそこから発想が広がって、最終的には単なる顧問サービスを超えて高難度業務の勉強会をしていくというアイデアが生まれました。

過去に計5回開催しているC3というイベントも、コンセプトを伝える場を作りたいという切り口が先です。ネーミングは何もないところから考えるときもありますが、C3に関してはモチーフがありました。それが「E3」。

「Electronic Entertainment Expo」というロサンゼルスで行われる年に1回のコンピューターゲームのイベントがあり、それが通称E3と呼ばれているものですが、これがモチーフになっています。

というのも、第1回の講師にはどうしても任天堂のwiiを企画した玉樹真一郎さんに来ていただきたかったんです。そこで、ゲームにつながる名前にしたい思って「C3」にしました。これは「Company Concept Conference」の略で、会社のコンセプト会議という意味合いです。

ネーミングをつけるまでが一番楽しいですね。この辺が企画屋っぽいところですが。余談ですが、C3は玉樹さんもとても気にいってくださいました。

ネーミングは自分が気に入ることがまず大事

ネーミングについては、自分が気に入るということがひとつ。発案者として気に入ったものが使えるというのが私はいいことだと思っています。感覚としては、8:2とか7:3くらいで自分が気に入ったという部分が強くなければいけないというのが私のネーミングの考え方です。

LEGALMAGICは、もしかするとあまりいいと思われない方もいるかもしれません。ですが、私は気に入っています。ただ、100%自分が気に入ってさえいればいいかというと、それだけでは世の中に受け入れられません。2割、3割くらいは世の中の空気感や温度感を察知しながら考えていくとバランスが取りやすいです。

社内でもその割合は同じです。私が考えたネーミングに対して社員の意見や感想を聞いて、賛成の意見が出ないと、やっぱり進めていくのは難しい。社員も私も楽しくないので。

ネーミングで大切なこと

ネーミングはわかりやすさも大切です。士業デザイナーズは弊社の社員の増井と共同で考えましたが、そのままで一番わかりやすいというのが決め手になっています。ネーミングに関して大切なことはわかりやすいことと、もう一つは理由を聞いたときに納得できるネーミングであることです。

ちなみに、「天才塾」という名前は誤解されているところもあって、私が天才で、天才が教える塾だから天才塾にしたと思っている方もいたようですが、そうではありません。「天才塾」という名前には、この塾に入った人が巣立つときに「天才」と呼ばれる起業家になれる塾である、という意味を込めています。

ネーミングは、社員のモチベーションにも少なからず影響するというのが私の考えです。例えば何かサービスを始めるとき、自分がいいと思えない名前だったとしたら、モチベーションが少し落ちてもおかしくはないと思います。

社名とサービス名は別でも良い

弊社は「パワーコンテンツジャパン株式会社」という社名です。私は愛着を持っていますが、企業戦略面でみると、長いし口頭で伝えにくいというので、客観的に好ましくない部分はあるかもしれません。しかし、長く使い続けてきてとても良い名前になってきたと思っています。会社名が事業や社員によって育てられた感じがあります。

天才塾に集中していた頃は、天才塾とパワーコンテンツジャパン株式会社という名前を両方使うことにすごく違和感がありました。天才塾株式会社でもいいかなと思ったこともありましたが、それも納得がいかなかった。ただ、例えばリクルートのように、社名とは別に数多くのサービス名を持つ会社もあります。

例えば「ケイコとマナブ」や「ゼクシィ」などのサービス名は、今や社名とは独立した知名度を持っています。私が2つの名前を使うことに少し違和感があったのは、こういった考えがなかったからです。

天才塾の他にもLEGALMAGICや士業デザイナーズ、LClabなどのたくさんのサービスを展開している今になってみると、あのとき違和感を持ちながらも2つの名前を使い続けてよかったなと思っています。

ネーミングは、まずは発案者である社長が気に入ることが大事です。でもそれだけではなくて、客観的に世の中の空気感や温度感を察知するところも大事にしていくと、バランスのよいネーミングができるのではないかと思います。

横須賀耀尚

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