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経営者の視点的「働き方」

スケール感が高い働き方、経営者的の視点的な働き方の考え方として、「どういう収益構造を持つか」というものがあります。「あなたたちは安心して働けている環境がうちにはあるんだよ」っていうことを見せられる収益の構造が1つあると落ち着く、というのが私の考えです。社員が一生懸命働ける環境にはいろいろな環境があるかもしれませんが、絶対外せないのが「安心できる環境」だと考えています。安心とは、「収益的に安定している会社で働く」ということ。これが良い仕事ができるためのひとつの要件だと思っています。

例えば、毎月売り上げノルマを押し付けられて「お前らが稼がないとこの会社は終わるぞ」なんていうことを言われていたら、当たり前ですが安心して働けません。それに実際は、大きい自転車、小さい自転車、どういう自転車であっても自転車操業であることに変わりはない。そこで安心して働けるかというとそうではないでしょう。社長が資金繰りに駆け回っているような会社で安心して働けるかというと、やっぱりそうではないです。
これは、会社の数字をオープンにしろということではありません。なんとなく「そういう収益構造なんだ」ということが社員にも見えていることが大事だということ。そこがあまり謎すぎても、社員にとっては良くないということです。

ただ、とくに時期によっては、見えすぎるのもどうかなというのはあります。例えば、社長がいくら給料をとっている、借り入れがいくらある、今月赤字だったというような会社の数字については、決算書などで見たときに読み方を間違えると、単なる赤字で潰れる会社だと思われてしまいます。
しかし赤字の会社なんて死ぬほどあるわけで、どういう赤字かというのを読み解くまでにはそれぞれの個人のスキルが必要になるわけです。ですから、小さい会社であれば、そこはあまり不用意に出すことはないかなと考えています。

経営的な視点でという話をしましたが、その時に「あなたたちは安心して働けている環境がうちにはあるんだよ」っていうことを見せられる収益の構造が1つあると落ち着きます。そしてそれがあるだけではなくて、「どんなことがあっても、うちはこの事業があるから、あなたたちに給料を払えないということはないんだよ」っていうことをちゃんと伝えるということが大切です。
その収益事業があるからこそ、チャレンジがある。例えば、「うちの会社は何もしなくても三千万円位は間違いなく入ってくる、だから次の事業でなにかチャレンジしませんか」というのはチャレンジできる。しかし、「うちは不安定です、でもチャレンジしてください」と言われても、なかなかチャレンジしにくいです。

例えば、営業マンがたくさんいて、毎回50万円相当のものを売ってくる。しかし、収益性が高いから、固定収入的なものはなくてもいいや、ストックも充分貯まっているし、ということで、これは経営者のスキルというか技量のようなものもあるかと思いますが、経営者的には問題ないと思っていたとしても社員にとってみれば、そんな状況では安心はしにくいでしょう。安心できる場所じゃないと、のびのびと働けないと思うのです。安心できる環境と、それなりの明瞭度の経営が必要ということ。
数字などを完全にオープンにするっていうのはやっぱりリスクだと思いますし、私は経営者としてはまだその辺は完全にオープンにする段階には達しておらず、ふわっとしているところもあります。ただ、「安定できる、安心できる事業を作り出すこと」が経営者の技量であると考えています。だからこそ社員も安心して働けるし、いろんなことにチャレンジできる。

私はソニーの経営にすごく影響を受けているところがあります。ソニーのOBの方にも知り合いがいて、実際にそういうところから教わってはいるんですが、ソニーも、食い扶持事業とチャレンジ事業というのはやっぱり明確に分けているんです。
「食い扶持があるからチャレンジができるんだ」ということを言っています。うちも最初からこういうことを考えていたわけではありませんが、自然とそういうふうになっていきました。
基本的には、「安心できる環境を作り出した上でチャレンジする土壌を作る」というのが、私が考える働きやすい働き方です。

横須賀輝尚

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