マーケティングリサーチというのは、すでにあるマーケットに対して、どれだけ商品が受け入れられるかをリサーチするものです。基本的には既存のもの、今あるものじゃないと、なかなかテストをしてもイエス・ノーは出ません。
真新しいものを売るときは最終的にチャレンジでしかない
全く新しいものを始めるとき、社内的には当たると思ってやっていますが、当たらない可能性はあるということは社員に当然伝えます。真新しいものを世に出すときには、マーケティングリサーチってあまり通用しないんです。出してみないと本当にわからないです。だから最終的には「やるしかない」ということになります。
ただ、当たらないという可能性を下げるために、先行者のビジネスモデルは調べますし、リアルなお客さんの声を聞いたりもします。この辺りは大胆でもあり慎重でもあるという考えです。
10年ちょっと前に天才塾を始めようと思ったときには、天才塾のようなサービスはなかったわけです。会員制コンサルティングはあったのかもしれませんが、士業向けでメール相談で、月一回のセミナーというのが果たして通じるのかな、というところがありました。
そこで、先行したビジネスモデルに近いものを探すということはしました。当時は月1回セミナーをしてDVDを送るというサービスをやっている人がいたんです。ただそれは、DVDがなかなか届かないとか、相談は受け付けないというような内容だったので、これを丁寧にやっていったらいいんじゃないかなと考えたわけです。
しかし、天才塾というネーミングが当たるのかどうか、月額15,000円という金額がいいのかどうかというのは、やっぱりやってみないとわからないところです。
2016年も、元THE BOOMの山川さんとトークライブ&音楽ライブをやりました。この時は100人集めたんですが、結果として、見たいと思っている人が一定層いることがわかりました。これも、やってみたからわかったことです。
大企業と違うのが、ものすごく予算をかけてやらないというところ。だから撤退も早いです。失敗したものも結構たくさんあります。例えばビジネスブログの本がすごく売れたときに、ビジネスブログを教えるスクールをやったこともありました。カリキュラムなんかも作ったんですが、これは全く当たりませんでした。
理由として、ブームが過ぎてしまったということもありましたが、即金性がなかなか見えないというところも結構ありました。
会社に新しいことを許してくれる土壌を作っておく
そして、それを許してくれる会社の土壌や空気というのがやっぱり必要です。社員に対しては、入社時に「うちは新しいことをやる会社だよ」「新しいことを奨励されるよ」ということは言っておかないと、「また社長が新しいこと始めたよ」となる。
そしてポイントは、新しいことをやるという気持ちが芽生えたときには、その時点で社員に共有しておかなければいけないということです。
パワーコンテンツジャパン株式会社では、社内コミュニケーションツールとして、ChatWorkというビジネスチャットを使っています。これはグループチャットという複数名が閲覧できるチャットをつくることができるのですが、その中には、「社長が考えてることチャット」というのがあります。私が聞いた話なんかで「こういうの面白そうだな」と思うことがあったら、そこに書いておきます。
社長って思いつきで新しいことを始めるのではなくて、ああいいな、と思ってから自分の中で成熟させて、期が熟してから「さあやろう」と取りかかるんです。でもその間社員にそのことを喋ってないと、社員としては「またなんか急に言い出したよ」みたいな感じになってしまいます。
アイデアは、もはや私より社員から出てくることも少なくありません。私はきっかけでしかないんですね。ちなみに、天才塾の「GeniusSearch」はみんなで話し合った結果、開発されたものなんです。
このように、新しいことを始める前の土壌づくりは大切だと考えています。
横須賀輝尚